犬のクッシング症候群について

はじめに

犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、尿の量や回数が多い、多量に水を飲む、お腹がふくれる、脱毛などで気がつくことが多い病気です。人は10万人に1人の非常にまれな疾患ですが、犬のクッシング症候群は500頭に1頭(約0.2%)の発症率で、犬では頻度の高い疾患といえます。

クッシング症候群の原因

原因は大きく分けて3つに分けられます。

1.下垂体の腫瘍によるもの
通常、脳にある「下垂体」はACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンを放出することで副腎にコルチゾールを放出させます。下垂体に腫瘍ができることでACTHが大量に放出され、副腎からもコルチゾールが大量に出てしまうようになります。クッシング症候群の原因は下垂体腫瘍によるものが80〜80%程度と言われています。

2.副腎の腫瘍によるもの
副腎が癌や良性腫瘍になることでコルチゾールが大量に放出されることでおこります。クッシング症候群の原因は、副腎の腫瘍によるものは10%程度と言われています。

3.薬の投与によるもの
何かしらの病気の治療のためにステロイド剤を過剰投与・長期連用されることで起こります。医原性クッシング症候群と呼ばれます。

クッシング症候群の症状

・おしっこの回数が増える
・水を大量に飲む
・異常な食欲
・お腹がふくれる
・筋肉が減る
・尿比重の低下
・ポットベリー(皮膚が薄くなり、お腹が膨れることでお腹の血管が明瞭に透けて見えること)
・左右対称性の脱毛
・肝臓の腫大
・皮膚病が治らない

上記の症状に比べると頻度はやや低くなりますが、
・肥満
・パンティング(呼吸が荒い)
・皮膚の色素、石灰沈着
などの症状がみられることもあります。

クッシング症候群の診断

クッシング症候群の診断は、臨床症状、血液検査、超音波検査、ホルモン検査などにより行います。
超音波検査では副腎や肝臓の大きさを主に観察します。ホルモン検査では代表的なものとしてACTH刺激試験というものがあります。

クッシング症候群の治療

クッシング症候群の治療としては、身体の中でコルチゾールの合成を抑制するお薬の内服がメインとなります。お薬が効きすぎることを防ぐために、状態が安定するまでは薬の量を慎重に調整しながらモニタリングをします。また、副腎自体が腫瘍化している場合は外科手術を行うこともあります。

おわりに

クッシング症候群は、胆嚢粘液嚢腫、尿石症、高脂血症、糖尿病、歩行異常、神経異常、血栓症、気管や気管支の石灰化、肺高血圧など数多くの疾患のリスク因子になりますため注意が必要です。
早期発見をすることが重要になりますため、定期的な健診が大切です。

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【クラーク動物病院】
住所:札幌市豊平区福住2条10丁目15-1
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