犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)について

1.犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の原因

犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)は、胃、小腸、大腸の粘膜に原因不明の炎症が起こり、慢性の消化器症状を起こします。IBDに似た病態の病気には消化管型リンパ腫もあります。

炎症性腸疾患(IBD)の原因ははっきりと分かっていませんが、自己免疫疾患、食物アレルギーや食物不耐性、環境、腸内細菌叢の乱れなどが複雑に関わることで発症すると考えられています。

特に猫の炎症性腸炎は、長期間放置すると二次的に小腸に肉芽組織を形成し、最悪消化管閉塞を起こして腸切除などの外科的な処置が必要になる場合があり、『猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症(FGESF)』と呼ばれています。

2.犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の症状

犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の症状は、

・慢性的な下痢
・嘔吐
・体重減少
・食欲不振
・腹痛

などが挙げられます。

3.犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の検査

犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の検査には、

・身体検査
・糞便検査
・血液検査
・画像検査
・アレルギー検査(リンパ球検査)
・内視鏡検査

など様々な検査を必要に応じて組み合わせて行います。

アレルギー検査と内視鏡検査の重要性

ご飯を食べても体重が増えなかったり、慢性の下痢が続いていて治療をしていても改善せず、セカンドオピニオンを求めて当院に来院される方も多くいらっしゃいます。

一般的にIBDは血液検査で低蛋白質や低アルブミンなどになってから診断されることは多いですが、適切なカロリーを摂取していても体重が増えない場合や慢性的な消化器症状を呈している場合に、潜在的に慢性腸炎に罹患していることが多くあります。

様々な検査の中でも、アレルギー検査(リンパ球検査)や内視鏡生検検査(病理検査)がIBDの診断に有用です。

アレルギー検査の結果をもとにフードを変更することで、IBDの治療の効果を高めたり(投薬量を減らしたり)、進行を遅らせたりすることがあります。また、軽度(早期)の場合は、フードの変更のみで経過を見ていくことも多いです。

内視鏡生検検査は炎症性腸疾患(IBD)と消化管型リンパ腫の鑑別に必要になり、早期にリンパ腫の可能性を除外しておくことで将来的な治療のプランが建てやすくなります。そもそも重症化してからだと麻酔のリスクが高くなり、内視鏡検査が出来ず、リンパ腫かどうか分からずに亡くなってしまう場合も多いです。また、アレルギー検査が陽性の犬の内視鏡生検検査(病理検査)ではリンパ球性・形質細胞性の慢性炎症所見が見られることが多く、潜在的なIBDの早期発見に有用です。

IBDは早期発見、早期治療が大切です。IBDが疑われる場合は、この2つの検査を選択肢に入れることをお勧めしております。

アレルギー検査は院内で採血を行い外部の検査機関に血液を送り検査をしてもらいます。
内視鏡検査は全身麻酔を行いますが、開腹の必要がなく日帰りでお帰りいただけます。

内視鏡検査によってリンパ腫やIBD(※)、一般的な胃腸炎の鑑別が可能になった症例をご紹介します。

※IBDは除外診断となり、内視鏡で確定診断は出来ませんが、病理検査ではリンパ球性・形質細胞性の炎症所見が認められるという病理結果が出ます。

↓こちらは内視鏡下で生検を行い病理検査でリンパ腫と診断された症例です。病理組織検査でリンパ腫の疑いが指摘され、免疫染色という追加検査と遺伝子検査でリンパ腫と診断されました。

↓こちらは重度の低アルブミン血症と嘔吐の症状があり、全身性ステロイドと免疫抑制剤にて治療されていましたが、なかなか良くならず他院より転院されてきた症例です。当院にて内視鏡下で生検を行い病理検査でリンパ球性・形質細胞性腸炎(IBD疑い)と診断されました。またアレルギー検査により腸炎の原因になっている食べ物を特定し、現在は全身性ステロイドと免疫抑制剤を休薬し、食事療法と腸局所のみに効くステロイドでコントロールが出来ております。

↓こちらは3ヶ月間下痢が続いており、他院より転院されてきた症例です。内視鏡内視鏡下で生検を行い病理検査で軽度のリンパ球性・形質細胞性胃腸炎(アレルギー性胃腸炎)と診断された症例です。アレルギー検査を追加で行うことで、腸炎の原因になっている疑いのある食物を特定し、現在は食事療法と、症状がひどい時のみにお薬を飲むことで症状をコントロールできています。

↓こちらは1歳5ヶ月の若い猫ちゃんですが、慢性的な消化器症状があり、エコー検査で消化管のリンパ節が腫れていたため、内視鏡検査とリンパ節生検を行いました。病理検査ではリンパ腫を完全には否定できず、その後遺伝子検査や免疫染色検査という検査によりリンパ腫では無い(IBD疑い)と診断された症例です。

今回4つの症例を紹介させていただきましたが、いずれの画像も比較的似ているように見えます。そのため、内視鏡検査と病理検査を適切に組み合わせて総合的な視点をもって診断を行うことが大切になります。

4.犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の治療

犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)は完治させる方法はありませんが、食事療法、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗菌剤などを組み合わせて治療を行います。IBDは原因が食べ物であった場合、食事療法のみでコントロールできることもあります。
そのためには早めにアレルギー検査で原因を特定することが大切です。
原因の食物を特定し、その原因食物が入っていないフードに切り替えることで治療を開始します。
最近はIBD用の様々なフードが発売されております。当院では、飼い主様と相談しながらその子に合わせた最適なフード選びをご提案しております。

炎症性腸疾患(IBD)は慢性的な下痢が続きワンちゃん猫ちゃんにとっても大きなストレス、負担になります。重症例では命に関わることもありますので、しっかりと検査、治療を行うことが大切です。
当院ではセカンドオピニオンも積極的に受け付けておりますので、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。

※当院はご予約優先制になります。
※出来る限り待ち時間を少なくするため、事前にご予約をしていただくことをお願いしております。

【クラーク動物病院】
住所:札幌市豊平区福住2条10丁目15-1
電話:011-799-1080

<診察時間>
午前:10時から13時
午後:16時から19時
休診日:日曜午後、月曜日

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